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Vol.1293 生誕100年ヴァージニア・デール〜たった一度のスポット・ライト?
 1930年代以降ハリウッド・ミュージカル映画のビッグ・ネームである歌のビング・クロスビーと踊りのフレッド・アステアが顔を合わせた1942年の「スイング・ホテル」のダンシング・スターであるヴァージニア・デールが生誕100年を迎えます。
 映画ファンになった頃からクロスビーとアステアに挟まれてポーズをとるヴァージニアのスチル写真がお気に入りで、今でもオープニングに3人で歌い踊るナンバーが大好きです。ただし、ヒロインでなく敵役なのでもう1曲アステアとデュエットした後は最後まで登場しないのが残念です。
 名誉あるアステアのパートナーでありながら、私はそのキャリアをよく知りませんので、今回このコラムを書くに当たり、「スイング・ホテル」を始めとするヴァージニアの出演作を押入れから引っ張り出してきて観ました。

「Swing Banditry」
 MGMの短編で楽団の歌手役、しかも紅一点という美味しいポジションで何と“Sing Sing Sing”を歌っています。
「Idiots Delight」
 MGMのA級作品です。
 クラーク・ゲイブルが連れ歩くコーラス・ガール6人の内のひとりとして、“Puttin on the Rits”をゲイブルと一緒に歌い踊ります。
 以前、コラムVol.799でこの作品を取り上げましたのでそちらもチェックしてみて下さいね。
 この後、パラマウント映画に移籍してややレベル・ダウンします。
「Buck Benny Rides Again」
 ラジオの大スター、ジャック・ベニーが主演する軽いミュージカルで、ヴァージニアは女性3人の内のひとりとしてベニーに絡みます。歌うだけで、踊る場面はありません。
「Dancing on a Dime」
 舞台裏ミュージカルです。
 再び女性3人の内のひとりというポジションですが、タップを踏む練習場面ではパッとした動きで目を引きます。主役のロバート・ペイジとグレース・マクドナルドはこの後、パラマウントよりも格下だったユニヴァーサル映画に移籍してC級ミュージカル映画に沢山主演しました。
「Las Vegas Nights」
 今日では大歌手フランク・シナトラが初めて出演した映画として有名ですが、まあ酷い酷い酷い作品です。
 ここでもヴァージニアは女性3人の内のひとり扱い、しかも冴えないコメディアンの奥さん役。わずかなミュージカル・ナンバーでは、体じゅうに鳩をとまらせてラスヴェガスのステージを闊歩するのです。
 可哀想に!
「Kiss the Boy Goodbye」
 前回の鳩のナンバーを多分イヤな顔ひとつせず笑顔でこなしたご褒美か?ブロードウエイ・ミュージカルの女王メリー・マーティンのこの主演作では、メリーの友人役として映画の最初の場面に登場します。ドン・アメチやピアニストのオスカー・レヴァント主演のA級作品です。そして遂に「スイング・ホテル」にキャスティングされ、アステアのパートナー役を得たのです。

 「スイング・ホテル」以前のヴァージニア・デールは、明るいブロンド・ヘアーの若々しいアメリカ娘のイメージが強いので、私達が永年見てきたイメージとは全く違うのが皮肉です。ヒロイン役のマージョリー・レイノルズもブロンドだったせいか?ブルネットに変色させられ、髪をまとめて大人っぽくされた形跡があります。パラマウントとしては、いい年をした大スターのクロスビーとアステアが小娘に騙されて棄てられる不謹慎な印象を少しでも和らげたかったのかも知れません。
 て、私の勝手な想像であります。

 今回は、ハリウッド・ミュージカル映画史上の名作である「スイング・ホテル」のヴァージニア・デールを取り上げました。

天野 俊哉


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