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		| Vol.799 クラーク・ゲイブルのタップ・ダンス |  |  |  
		| MGMミュージカル映画の集大成「ザッツ・エンタテインメント」の中でも、ひときわサプライズだったのが「風と共に去りぬ」の大スタークラーク・ゲイブルが歌い踊る場面でした。 私は今の今までこのゲイブルが歌い踊る映画「Idiots Delight」(1939)を観ていませんでした。
 日本では劇場未公開、テレビ未放映、ビデオ未発売、DVDも未発売です。アメリカからDVDを取り寄せるしか手がないと思っていた矢先、スマホの画面(Dailymotion)にこの映画が映りノーカット版が始まりました。
 凄い時代ですね。
 第二次世界対戦前夜のヨーロッパを舞台にしたドラマで、ゲイブルは女にモテモテのダンサー兼物売り兼インチキ読心術師。
 ポスターを通して巡業公演に脇役として出演してゆく流れが笑わせます。ヴォードビル風の舞台では小柄な男性とソフトシューでタップダンスのデュエットを。モーニング姿にステッキを持ってコーラスボーイとして踊る場面も真面目にやればやるほど可笑しい。安っぽい舞台という設定でもそこは天下のMGM、チープさは全く感じられず。
 やがて女の子6人組ル・ブロンズというチームを引き連れ巡業の旅に。私達が知るあの有名なタップ・ダンス・ナンバーの登場です。
 6人の女の子の内、映画史に名を残しているのは2人です。背の高いヴァージニア・グレイは、1930年代にMGMの短編映画でジョージ・マーフィ、リー・ディクソン、ペギー・ライアンらのタップ・ダンサーと共演した経験があるのに、MGMからはダンサーとして認知されなかった女優さんです。それでも「ターザン紐育へ行く」「マルクス兄弟デパート騒動」等の主演作品あります。
 もう1人はヴァージニア・デイル。パラマウント映画「スイング・ホテル」ではフレッド・アステアのパートナーとして主演したことで有名。
 この6人は当時のMGMでは力を入れていたのか?タイトルでは1枚に6人の名前がドーン、さらにはゲイブルによる役名での紹介まであります。
 さてアーヴィング・バーリンの名曲“Puttin on the Ritz”をアステアよりも先にタップで踊ったのがゲイブルというのも凄い!レット・バトラーですからね!
 ゲイブルの後ろで踊る左から2番目の女の子のスカート吊りのベルトが取れてしまい、その反動で彼女が振りを間違えるショットがそのまま使用されていますが、このショットでのゲイブルの表情と動きがめちゃめちゃいいんですね。フィルム編集者は多分「誰も後ろなんか観やしないよ」と独り言を言いながらフィルムをつないでしまったのでしょう。
 上半身が安定していて腰から下の動きがスマートなゲイブルはなかなかのダンサーだと思いますね。
 このナンバーは女の子6人に持ち上げられ、FOして崩れて終わりかと思いきや、何とカーテンコールがありました。今度はステッキ無しで踊り直し、チャールストン振りが始まった当たりでドラマに戻ってしまいます。
 ノーマ・シアラー、エドワード・アーノルド、バージェス・メレディスら一流の俳優が共演したかなり戦時色の強い作品であり、昭和14年の日本で公開されなかった理由は分かります。
 ゲイブルの機関銃の様に早くテンポの良いセリフは今観ても古くならず魅力的です。字幕無しでも楽しめました。
 興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。
 写真右上 上から
 巡業公演風映画ポスター
 ゲイブルをセンターにル・ブロンズ。一番背の高い子がヴァージニア・グレイ。隣にヴァージニア・デイル
 写真下 左から
 路上販売をしているゲイブル。まるで寅さん
 ヴァージニア・グレイ
 ヴァージニア・デイル
 
 天野 俊哉 
 
 
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