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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1969 タップダンスラボラトリー公演
 加藤邦保先生主宰の『JAM TAP DANCE CAMPANY公演』『SKDスタス公演』に出演されたり、竹下恭平さん率いる《ベスト・ブレンド》のメンバーとして活躍されてる女性タップ・ダンサー尾崎美月さんが千葉県松戸市で立ち上げたタップダンス・スタジオ《タップダンスラボラトリー》の10周年記念公演が4月に松戸市民劇場で開催されました。
 チラシによると、スタジオの代表は与那明子さんという方で公演の演出を担当、尾崎さんはちはるさんと振付師としてクレジットされています。通称タップラボは松戸、柏、流山、そして私とは縁の深い亀有でレッスンを展開中らしい。亀有って何処らへんなんでしょうね?

 さて、1部に和もの『かぐや姫』(35分)を持ってきた辺りが場所柄というか庶民的で微笑ましい!何と言っても松戸市民劇場にぴったりな題材です。頂いたプログラムの筋書きは全く読まずに見始めたので多分半世紀ぶりくらいの『かぐや姫』との再会でしたが、この懐かしさって一体何なのでしょう?流れる“かごめかごめ”“通りゃんせ”などの日本の古い歌曲、衣裳の数々、でも足元はタップシューズなのがご愛嬌。セリフや説明を全く入れず音楽で進んでゆくのにとても分かりやすい。また少女期のかぐや姫をはさんでお爺さんお婆さんの3人が手を繋いでシャフル・ステップを丁寧に踏む場面が思いのほか素敵でした。かぐや姫の成長も、かぐや姫を囲んだ子供たちの輪が上手にはけると同時に下手から成長したかぐや姫を囲んだ女性達の輪にスライドする演出などがスマートでした。
 そんなホッコリした流れの中に突如客席から手にライトを持った男性5人組が乱入して、舞台でパフォーマンスを始めた辺りは後でプログラムを読むまで分からなかった。センターの男性だけが黒いマスクをしていたのも謎。ライトの芸がかなりのレベルでした。
 もうひとつ、後半のまだ『かぐや姫』の最中に中割が下りて中割前でボージャングルスを意識した様な衣裳の尾崎さんがタップのソロを踏まれたのはつなぎだったのか?唐突すぎで現代的すぎましたが尾崎さんのタップとフィーリングは最高でした。
 『かぐや姫』の“けって、ひいて、おいて”シャフル・ステップを見てウルッときたのは生まれて初めての経験でした。
 場内が明るくなりプログラムを開いて『かぐや姫』の解説を見るとライトを持った男性5人組がかぐや姫にプロポーズする若衆とのことでした。

 15分の休憩時間の後、プログラムには第二部《小作品集》と遠慮気味に曲名が14曲並んでいる。ブロードウェイ・ミュージカルやハリウッド・ミュージカルの名曲、ジャズの名曲、日本の映画音楽から童謡まで幅広い。ただ舞台上で踊っているのが誰なのか分からないのが残念。
 この14曲40分位のショータイムですが、曲毎に暗転にせず、ダンサーは踊り続ける、極力舞台で使用出来るカーテン類を使う、さらに映像等で効果を上げぶつ切りにしない等の点が私好み。Y's公演が懐かしい!
 出演されてるまだ10代から20代の女性グループと男性の方々はこちらのスタジオ発足の頃からのメンバーとお見受けしました。シアター・スタイルのタップからダンスの動きもキレイにこなせて心強い限り。可愛い水兵服を着た子供たちが踊る“かもめの水兵さん”は私なら大人を混ぜないで子供たちだけで勝負させました。スクリーンが下りてきて女性ソロのバレエがここだけだったのですが、スクリーンが上がって同じジャズの曲でタップが続いたのはイキな演出。映画『雨に唄えば』からの3曲メドレーはオリジナルの振付を生かしたもので若いダンサーの皆さんがよく踊れている。ジーン・ケリーのヴォーカル入りの“雨に唄えば”でメインでステップを踏む後ろで踊る数名のアンサンブルの振付も心地良い。
 私世代が感心したのが“戦場のメリークリスマス”の選曲でした。尾崎さんらレベルの高い3人の方が踊るタップで出来ればもっと長く見せて頂きたかったです。フィナーレの“スィング・スィング・スィング”は加藤邦保先生の影響を受けた尾崎さんらしく見事なタップ作品になっていました。

 ソロでタップを踊られる尾崎美月さんは特に誰かを意識した女性タップ・ダンサーではないのかも知れませんが私はハリウッド映画で活躍したエレノア・パウエルを思い出しました。パンツの衣裳が最高に似合う、タップを踏んでいる時のフィーリング、振りの間に見せる表情やややオーバーなリアクション、録音された歌を一緒に声を出したりもしてました。エレノア・パウエルに限らず女性タップ・ダンサーはソロやアンサンブルでの活動がメインになってしまいますが、いつの日か尾崎さんの前にもジョージ・マーフィーやフレッド・アステアの様な男性タップ・ダンサーが現れます様に。

 ご出演された皆さまお疲れ様でした。

(註)ジョージ・マーフィーとフレッド・アステアは1940年代のハリウッド映画でエレノア・パウエルが共演する事の出来た貴重な男性タップ・ダンサー。

天野 俊哉



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