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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1900 宝塚雪組公演(2021年10月)
 雪組新トップスター彩風咲奈さんと朝月希和さんのお披露目公演を観に東京宝塚劇場まで出掛けました。

 今回は久々に2階席からの観劇。指揮者の方以外、オーケストラ・ボックス全てに飛沫防止のために(素材は分かりませんが)黒い布の様な物が被されていましたのでオーケストラ団員の皆さんを見ることは出来ませんでした。
 先ずは北条司氏原作のコミックをベースに齋藤吉正氏が脚本と演出を担当したミュージカル『CITY HUNTER〜盗まれたXYZ〜』から。ここ数年、特に雪組は『SHALL WE DANCE』『ルパン三世』『るろうに剣心』等、必ず大ヒットするであろう題材を見つけてくる!多分、雪組プロデューサーのホンを選ぶ才能が長けてるに違いありません。しかも大作として1本ものにせず、ショーやレヴューと2本立てにするあたりが宝塚ファン、雪組ファン、何よりも雪組の生徒達に親切だと感心してしまいます。この日、場内には宝塚ファンとは思えない男子の姿があちこちに、多分CITYHUNTERのコアなファンに違いありません。

 私は今回の原作コミックは読むどころか存在も知りませんでしたので新鮮な印象を持てました。バブル期1989年の新宿を舞台にしたという時代設定は嬉しい。劇中、様々な用途で使われる電光掲示板と言えば新宿の象徴の一つ、駅にあった伝言板なんて齋藤吉正氏も芸が細かい!
 大都会で歌い踊るスター達のハードボイルドな振付をAYAKO氏と港ゆりか氏が担当して作品に躍動感を与えました。
 チャラ男の主人公、冴羽りょうを演じる新トップスターの彩風咲奈さんはさすがにまだ若いので、お披露目にこうしたコメディ・タッチの作品は正解でした。また、ダンスが上手くてスタイリッシュな人なのでこうしたスーツ・アクトはぴったり!相手役の槇村香役に落ち着いた雰囲気で、歌と踊りが安定している朝月希和さんというのも納得。かつて花組トップだった愛華みれさんと大鳥れいさんの《姉さん女房コンビ》を思い出してしまいました。益々磨きがかかってきた2番手の朝美じゅんさんにはオリジナルに登場しないモテモテのアメリカ人の役が与えられました。若手男役さんの綾凰華さんや縣千さんにメイン・キャラクターの役が廻ってきたお陰で私も彼女達の名前を覚える事が出来ました。さて、大変重要な役にキャスティングされた専科の英真なおきさんが大劇場公演に続いて東京公演も全公演休演されてしまったのが残念、代役の夏美ようさんは達者な方だし何の遜色は無かったものの、やはり英真さんが持っているペーソスは欲しかったかな、と。

 35分間の休憩を経て後半のショータイムに。
 稲葉太一氏作・演出によるショー・オルケスタ『Fire Fever』はそのタイトルから「ラテン物ね?」と思ってしまいますが《新生雪組の魅力をたっぷりつめこんだ炎の様に熱くダイナミックなショー》であるらしい。会議に通る企画書を書けるかどうかで演出の起用が決まるそうですのでこれは中々良いですね。振付担当は御織ゆみ乃氏、若央りさ氏、百花沙里氏ら宝塚OGの女性3名と平澤智氏、三井聡氏ら外部の男性2名、予算やスケジュールの問題もありますが、世間とは大きく異なる宝塚のダンスの振付はやはり手慣れた方のが安心出来ますね。

 さて、大いに期待した稲葉太一氏のショーでしたが、わたくしトップ・コンビの彩風咲奈さんと朝月希和さんと朝美じゅんさん以外のスターが全く分からないのです!
《大きなステージで繰り広げられる豪華なダンスショー》
というのが率直な感想です。
 何か残念!私の勉強不足なのですが。
 お披露目作品なのでトップの彩風さんを中心に雪組生がズラリまわりを囲むフォーメーションはどれも迫力があり素晴らしかった!2階席センターから舞台を見下ろせたのは最高でした。
 タイトルにもある彩風さんと凄い数の男役さんがソフト帽にスーツ姿でダンディーに踊る“Fever”には震えがきましたし、男役さんを含めた72名が勢揃いするラインダンスも舞台の端から端までズラーッと並んで美しい脚を上げる眺めは壮観でした。ただしそこで踊っているのが誰なのか?困ったものです。
 フィナーレに持ってきたコール・ポーターの名曲“Just One of Those Things”を彩風さんと娘役さん達、彩風さんと男役さんの群舞そしてペアダンスの3つの場面に構成したあたり稲葉氏のセンスが光っていました。オリジナル曲を使った彩風さんと朝月さんのデュエット・ダンスを見ていたら前のトップさんが誰だったか?直ぐに思い出せませんでした!
 これぞ宝塚!これぞ宝塚マジック!

 雪組は次回の宝塚大劇場公演から宙組の和希そらさんが組替えでやって来ます。
 多分朝美じゅんさんの次のポジションになると思われます。その下で頑張る若手スターの皆さんの一日も早い成長を、そして彩風咲奈さん率いる新生雪組に期待を込めて。

天野 俊哉



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