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Vol.1728 もうすぐ生誕100年キャシー・オドンネルとジーン・ヘイゲン
 今回ご紹介する1923年生まれの2人のハリウッド女優は私が映画を観始めた10代の頃から知っている方々であります。今日映画女優として知名度はそんなに高くないのですが、アメリカ映画史上の名作に出演している事と若くして亡くなった事が共通しています。

《キャシー・オドンネル》
 1940年代のハリウッドでワーナーやMGMの様な大手撮影所ではなく、独立系プロデューサーとして活躍したのがサミュエル・ゴールドウィン。ゴールドウィンが製作する映画には品があって特別感がありました。私の中学生時代に沢山のゴールドウィン作品がテレビで放映されていました。そんなゴールドウィンが1946年に製作してアカデミー作品賞等を山ほど受賞したのが『我等の生涯の最良の年』。前置きがやたら長くなりましたがこの作品でデビューしたのがキャシー・オドンネルです。キャシーは1940年代のハリウッドに於いては地味で華やかさの無いのが特徴。いつも悩みを抱えた様な表情をしています。
 第2次世界大戦後のアメリカで、戦争から帰ってきた兵隊がどう普通の生活に戻るか?彼らを家族がどう迎えるかを描いたこの大作で、戦争で両腕を失ったハロルド・ラッセルの恋人役を演じたのがキャシー。出演場面は少ないうえ、素人なのにこの作品でアカデミー助演男優賞と名誉賞まで受賞してしまうハロルド・ラッセルの相手役は難しかったはずですが、オールスター・キャストのこの作品において大変好印象を残しました。ただしゴールドウィンの専属女優としてのその後はあまり作品に恵まれず、MGMで同じく若手のファーリー・グレンジャーと夫婦を演じた1950年の犯罪もの『サイド・ストリート』位しか記憶にありません。犯罪に巻き込まれた主人公をひたすら待つだけの役はあまりに平凡でした。
 他にも『探偵物語』には金の使い込みで捕まった青年の幼なじみ役、『ベン・ハー』にはチャールトン・ヘストン演じるベン・ハーの妹ティルザ役で出演しました。
 1970年に40代で亡くなりました。

《ジーン・ヘイゲン》
 中学生の生徒が長い学校の休みに何をしているのかを聞いたら「Amazonプライム・ビデオで古い映画を観てます!」との答えが。
 しかも「『雨に唄えば』を観ました」なんて言うからビックリしてしまいました。そう、MGM映画の専属女優ジーン・ヘイゲンの代表作がミュージカル映画の名作が『雨に唄えば』なのです。

 1940年代後半からMGM映画で女優のキャリアをスタートしたジーン・ヘイゲンはこの時代に活躍した女優さん達の宿命であるノワールと言われる犯罪映画への出演が強いられました。
 先のキャシー・オドンネルと同じく『サイド・ストリート』、若手の競演が話題になった『ノー・クエスチョンズ・アスクド』のつまらない役。ひとつだけ面白いのがジーン・ヘイゲンはこの2作品で唄っている事です。あまり上手くないけど。さて、こうしたノワール映画の名作として有名なジョン・ヒューストン監督の『アスファルト・ジャングル』で主人公スターリング・ヘイドンの恋人役という目立つ役を得ましたが、曲者揃いのキャストの中で場面の多い割にジーン・ヘイゲンの存在は地味です。後の大スター、マリリン・モンローの出演が他のキャストの影を薄くしてしまいました。

 ジーン・ヘイゲンは背が高くて美人なのにその美貌もユーモアのセンスも全く活かされなかった。そんな時、映画界でも活躍していたブロードウェイ出身のコメディ女優ジュディ・ホリデイがジーンにチャンスを与える事に。MGMの名物であるミュージカル映画の1952年の大作『雨に唄えば』がそれなのです。ジーン・ケリー、ドナルド・オコンナー、デビー・レイノルズら歌って踊る主役に次ぐハリウッドの大女優リナ・ラモント役にMGMは才能溢れるジュディ・ホリデイを当てたのですが、「ちょっと役が小さくない?」とダダをこねたジュディに出演を断られてしまいました。そして、ノワール映画のつまらない役でくすぶっていたジーン・ヘイゲンに白羽の矢が当たったのです。そして、リナ・ラモント役を得たジーン・ヘイゲンは主役のジーン・ケリーと共に沢山の場面に出演して悪声で性格の悪いハリウッドの大女優をコミカルに演じてハリウッド・ミュージカル映画最高の作品を演技で支えました。受賞は逃しましたが、アカデミー助演女優賞にノミネートまでされました。
 現在、ブロードウェイや日本の宝塚歌劇団で上演される舞台版『雨に唄えば』にはリナ・ラモントが歌うソロ・ナンバーがあるのですが、映画でのジーン・ヘイゲンの存在が華やかだったからなのでしょう。
 ジーン・ヘイゲンは1970年代に54歳で亡くなりました。

天野 俊哉



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