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Vol.1456 もうすぐ生誕100年高峰三枝子さん〜浮世離れした方
 書店の映画・演劇関連書のコーナーに行くと高峰秀子さんが書かれた本の多さに驚きます。映画女優としてだけでなく数々のエッセイで我々読者を楽しませてくれました。今回取り上げるのは、秀子さんと共に戦前から戦中、戦後の長きに渡り松竹映画で大活躍した高峰三枝子さんの方です。

 近年、才能のある若い女優さんが増え、映画界、演劇界、テレビ界も頼もしい限りですが、一つだけ物足りないのが浮世離れした雰囲気のいわゆるお嬢様女優の不在です。
 高峰三枝子さんは東洋英和女学院を卒業した本物のお嬢様なのに、何故か映画界に。やはり、お嬢様役ばかりでした。
 佐分利信さんと主演した吉村公三郎監督の『暖流』という作品が笑えました。高峰さんは頭からつま先まで真っ白のファッションで登場します。指を怪我しているので帰宅して玄関先で婆やを呼んで靴の紐をゆるめて靴を脱がしてもらうのです。スゲエ!
 これ、戦争が始まる2年前に作られた映画なんですよ。
 最後には石渡ぎんなんて貧乏な友人に恋人を譲るなんてあり得ない展開になるのですが、戦前の日本では浮世離れした雰囲気の高峰さんよりも、石渡ぎんを演じた水戸光子さんという女優さんの方が人気が高かった!と父から聞きました。
 映画会社は、映画ファンの多くを占める庶民層の支持を得るため、その後の高峰さんには不運な役柄ばかりを与えます。巨匠、小津安二郎監督の『戸田家の兄妹』では、母親と共に親戚の家を転々とする惨めな元金持ち。後年作られた『東京物語』に似た話でした。最後は新天地目指して旅立つ!みたいな話でしたが。

 戦後の日本では財閥や華族制度が解体されましたが、高峰さんはそんな没落華族の代表選手に。コラムVol.718でも一度取り上げましたが、それが、まさかの歌謡シリーズでした。
『懐しのブルース』
『別れのタンゴ』
『想い出のボレロ』
『情熱のルムバ』

等では、何れも地位も名誉も失った高峰さんがキャバレーやクラブの歌手としてどん底から再出発する話でした。取り合えず全部観ましたが、どれがどれだったか?全く記憶にありません。ただ凄かったのは高峰さんて歌える人なんだな?と感心した事です。

 私がよく知らないだけなのかも知れませんが、同じ様な雰囲気の女優さんだったら原節子さんも没落華族の役がありました、『お嬢さん乾杯』かな?でも、あちらは木下恵介監督の名作だったのに高峰さんは佐々木康監督のプログラム・ピクチャーな訳ですよね。ついてないと思いました。

 日本映画全盛期が終わり、映画女優さんもテレビ界に移りました。高峰さんは確かワイドショーの司会もされてました。
 1970年代、高峰さんには横溝正史原作の角川映画『犬神家の一族』のオファーが来ました。あの家長の役ですね。初めて映画を観た時、あまりにも堂々とされてる高峰さんてお婆様直前くらいかな?と思いきや現在の私と同い年だったのですね。スゲエ!
 そして大変話題になったフルムーンのテレビCMもありました。高峰さんの全盛期は意外にも還暦あたりからだったのかも知れませんね。

 今回は女優高峰三枝子さんを取り上げました。

天野 俊哉


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