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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1356 佐々木隆子先生時代(1987〜1993)のミュージカル『アニー』その@
 日本テレビのミュージカル『アニー』がスタートしたのが1986年、タップダンスを取り入れる事になり佐々木隆子先生がスタッフに加わったのが翌1987年からなので、今年でちょうど30年になります。
 演出の篠崎光正先生がアニー回想録みたいな本を出版してくださると嬉しいのですが、まだまだ先の様な気がするのですね。
 また、初代アニー役で本来アニー大使みたいな立場の菅野しおりさんがスキャンダルに巻き込まれてしまったり、アニー時代をクローズ・アップさせる良いタイミングを逃したのではないでしょうか。

 私がアニーズと呼ばれる孤児を演じたOGの子達に当時の話を聞くと、共通しているのが、
「篠崎先生の厳しさと優しさ」
「仲間との楽しい想い出」
の二つに限られるのです。
 夢見た舞台に出演出来た!訳ですから当然ですかね。
 泣いてばかり、絶対に辛かったのに、そんな話は一切出ないのです。
 最近では、アニーズの同窓会で「誰々が子供を連れてきました!」とかの話題も多いようですね。
 唯一批判的なのが、「どうしてプログラムに学校の名前が掲載されていたのかしら?」確かに!
 ネットを見ていてもこの時代のアニー公演に触れた文章が少ないようなので、先日審査員の想い出などを書いた流れで、1987年から1993年の隆子先生時代の『アニー』について書いてみたいと思います。

《1987〜1988》
 アントニオ猪木さんや芦屋雁之介さん等、まだ芸能人の娘さん達をアニーに合格させて話題作りにしている頃でした。また、子供達の学業など全く無視した6月の公演でした。
 タップを踏む子供は4人位でしたが、隆子先生はアニー役の子を含めて全員にタップを指導していました。
 タップを習っている子供をフューチャーしてる訳ですから、仕上がりは安心でしたし、まだ先生ひとりでこなせる内容でした。
 “おしゃれは笑顔から”と“NYC”にチラッと出てくるタップに「短くて勿体ない!」という印象を持ちましたが、セリを使って展開する“NYC”の場面は大変洗練されていました。

《1989〜1990》
 凄いスピードでステップを踏む子が現れた事から1989年公演ではアカペラのタップが登場しました。唯一の海外、アトランタ公演の映像が残されているのですが、今見ても凄い迫力です。ニューヨークのキッズの設定で、ナンバーとは切り離されていました。また、“おしゃれは笑顔から”にさりげなく登場する5人が踏むタップが魅力的で私は好きでした。
 90年公演のアシスタントは橋爪麻美さんでした。

《1991》
 そして、隆子先生の熱意から1991年から子供達全員がタップを踏む事に、しかも長い長い稽古時間を頂きました。指導側の地獄の始まりです!先のコラムにも書きましたが、“おしゃれは笑顔から”でのタップの苦手なリードダンサーと小さいモリー達の指導に苦労しました。この稽古中に先生の病気が見つかり、私が後半を引き継ぎました。
 カセットテープにタップの稽古中の音声を録音して病院の先生に報告しました。写真はその時のテープです。

《1992》
 先生の病気が再発して、入退院を繰り返しながら稽古場に臨んだ1992年。
 比較的元気だった振付の初期のころでしたが、子供のひとりが着ていた漫画のゴマちゃんのキャラTシャツを見た隆子先生が、「これってゴムちゃんて言うんでしょ?」と間違えて大ウケしていました。
 この春、私はイベントを多く抱えてあまりアニーの稽古場に行けなかったので、多くのインストラクターに加え、隆子先生の親友で生徒でもあったNHさんまでもがアニーの稽古場に指導で駆り出されてました。それでも“おしゃれは笑顔から”はまとまっていたのですが、スピードが勝負のアカペラ・タップに問題が残りました。
 ニューヨークの街角で、靴磨きの少年がウォーバックスさんから貰ったチップに驚き、喜んでタップを踏んで見せる!という場面でした。
 3月も半ばを過ぎたある日、病院の先生からスタジオでクラスを指導している私に電話がありました。先生の声はもう息も絶え絶えで「(薬が効いてくると)あまり喋れなくなるの」と前置きをしてから、「(誰かの)指導がマイナスに作用してアカペラのスピードが落ちたから元に戻せ!」という無茶なものでした。でも、それでは手の振りが付きませんよ!と説明したくても、先生はもう命がけ、といった必死な感じで「はい、必ず何とかします!」としか答えられませんでした。
 特訓が始まり、その子のスピンする時の脚が回りだすと方向が不味くなっていた、と記憶しています。

 先生は本番の1週間前に亡くなってしまいましたが、通夜や葬式には隆子先生に指導を受けた歴代アニーズの子供達が沢山来てくれました。
 また、舞台初日にはスタッフの皆様が隆子先生の席とプログラムを用意して下さいました。
 “おしゃれは笑顔から”のタップダンスの場面で、お客様から頂いた大きな拍手を隆子先生に聞かせたかったです。

 つづく。

天野 俊哉



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