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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1251 サスペンスホラー映画撮影現場レポート
 某日、ある筋より「最凶のサスペンスホラーコミックが実写映画化される」という情報が転がり込んできた。我々Y's取材班はあらゆるツテを駆使し、同映画の撮影現場の取材許可を得ることができた。
 3月某日、戸塚から始発で約2時間、御殿場に降り立つと、眼前に白い富士山がそびえる。寒い筈だ、駅前の気温計は2℃を表示している。
 制作スタッフにピックアップしてもらい、揺られること約20分。着いたロケ地は、創建年代が日本武尊(ヤマトタケル)の東夷征伐(西暦290年!)まで遡ると言われている、二岡(ニノオカ)神社であった。古くは黒沢明監督の「七人の侍」(1954)、近年では北野武監督の「座頭市」(2003)の下駄タップのシーンが撮影されたので、「あっ、あそこね」とピンと来られた方もいらっしゃるのでは?
 一礼をして鳥居をくぐると、ゾクッとする空気に包まれて思わず背筋を正す。参道脇には「もののけ姫」に出てくるような、樹齢何百年と思しき苔むした杉林が空高く伸びて行く手の陽を遮っている。カラスの鳴き声、遠くには自衛隊演習場の砲弾音が聞こえて、何とも言えない領域に踏み込んだ気分だ。
 テンポよく参道や境内のシーンが撮影され、続いて社殿内のシーン。一礼をして中に入ると、持ち込まれた暖房器具が焚かれているにもかかわらず、感覚的には外より格段に寒い。カイロを貼っていても体を動かしていないと震えるくらいの冷え込みだ。これが霊験あらたかなる場の空気というものなのか。
 薄手の神具姿で正座した宮司役が、長回し長ゼリフのカットでNGを連発。なかなかOKが出ず、現場に緊張した空気が張り詰める。やっとOKが出た時は脚が痺れ切っていたのか、もんどりうって倒れ込んだ。聞くと「寒くてロレツが回らなかった」そうだ。
 ナイトシーンに向けて一旦移動し、日が落ちるまで農家で屋内の撮影。制作部が手作りのガッツリ飯で体力をつける。
 神社に戻った頃にはどっぷりと日が沈み、カラスの鳴き声も砲弾音も聞こえない、静寂の闇の世界が広がっていた。
 寒い筈だ、待機車の外気温計は−2℃を表示している。
 ホラーコミックが原作とあって、Y'sコラムにはとても載せられないような凄惨なシーンが次々と撮影されていく。
 「私はただの取材です。この人たちとは関係ありません」と、バチがあたらないように神殿に向かってそっと手を合わす。
 極寒の中、熱い撮影は空が白むまで続いた。
 始発に乗るべく、御殿場駅まで送ってもらった際に制作スタッフに聞くと、「このままデイシーンを撮りに行く」そうだ。
 好きじゃなきゃ、好きなだけじゃ、やれない仕事だ。
 思わず頭の中にNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のエンディングが流れた。

極限の恐怖と絶望の傑作サスペンスホラーコミック「屍囚獄」
衝撃の実写映画化!
2017年初夏劇場公開!
原作:「屍囚獄」室井まさね(BAMBOO COMICS 竹書房刊)
監督:城定秀夫
製作:「劇場版 屍囚獄」製作委員会

Y's取材班




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